「冷え」と「腰痛」の関係は?寒い季節に気をつけたい腰痛の原因と対策

2021.02.25 最終更新日: 2023.07.25

寒い季節になると多くなるのが「腰の痛み」です。腰痛は男性では1番目、女性でも2番目に起こる症状で、日本人の80%以上が経験するという報告もあります。
さらに寒い季節になると冷えによる血行不良が腰痛を促すことがあります。その場合は温めること、姿勢を直すこと、そして筋肉に対してストレッチを加えることを合わせて行うと良いでしょう。
今回の記事では腰痛の原因や診察方法、そして受診が必要な腰痛についての解説、さらに冷えによる腰の痛みの特徴とその対策について解説します。

腰痛の原因はさまざま

はじめに腰痛の原因について解説します。腰は体の中心に位置するため痛みが起こりやすく、その原因には様々なものが考えられます。

腰は身体で最も負担がかかる場所だから

なぜ人は腰痛になりやすいのでしょうか。それは人体の構造に問題があるためです。腰を支える骨である「腰椎」は脊椎(背骨)の腰にあたる部分です。脊椎とは首からお尻の間に積み木のように骨が重なっています。そしてそれぞれの骨の間には「椎間板」と呼ばれるクッション材のような組織が挟まって、脊椎はカーブを描くように動くことができるのです。このような仕組みによって、脊椎動物は身体を自由に動かすことができます。
ところが脊椎動物のうち、人間は進化において2本足で歩くようになりました。その結果、腰椎に上半身を支える役割が加わったのです。これによって腰椎は人体で最も負担のかかる場所となり、疲労や痛みを起こしやすくなりました。

腰の周囲には様々な臓器がある

腰が痛いからといって腰椎が原因であるとは限りません。なぜなら腰とその周辺には骨以外にも筋肉や神経があります。腰椎同士をつなぐ関節や靭帯、さらに腰の前には内臓があり、これらの臓器にはそれぞれ血管が通っています。そしてこれらの中で異常が起きたときに腰痛という形で症状が出ることがあるのです。

腰痛は原因の特定が難しい

腰痛は病名ではなく症状の1つです。そのため腰が痛いからというだけで何の病気なのかは特定できません。腰痛に対してレントゲンを撮影しますが、画像と痛みの関係性がはっきりせず、痛みを起こしている場所を特定できないこともあるのです。

診療では腰痛の原因となる場所を探す

では実際の診療では腰痛の原因をどのようにして見つけるのでしょうか。一般的に腰痛の症状があれば、はじめに「危険な腰痛」(「こんなときはすぐ受診!危険な腰痛」で詳しく後述)ではないことを確かめます。もし危険な腰痛の兆候があれば、すぐに専門的な診察や治療を受けてもらうのです。
次に危険な腰痛ではなかった場合、経過の観察を行います。多くの場合、腰痛は1~2週間で痛みが治まります。したがって痛み止めの薬や注射を行いながら様子を見るのです。そして痛みが治まれば、腰痛予防の体操や姿勢の指導を行います。
もし様子を見ても腰痛が治まらない場合、より詳しい検査を行います。さらに必要に応じて注射や手術を行うこともあります。その後、リハビリを開始して弱った筋力の強化や腰痛予防の動作訓練を行います。

腰痛の原因ははっきりしないことがある

このように腰痛の治療はある程度確立されているものの、それでも痛みが治まらないことがあります。それは腰痛の原因を特定できないことがあるからです。原因がはっきりしない腰痛は「非特異的腰痛」といい、以下のように区別されます。

< 特異的腰痛 >

腰痛のうちレントゲンやMRIで原因がはっきりするもの。例えば椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、そして腫瘍や骨折などが当てはまります。

< 非特異的腰痛 >

腰痛のうち画像では原因がはっきりしないもの。ぎっくり腰や筋肉疲労による腰痛、それから心理的原因による腰痛が当てはまります。

腰の痛みが「非特異的腰痛」の可能性がある

では腰の痛みの原因が特定できない「非特異的腰痛」はどの程度起こるのでしょうか。2019年の腰痛診療ガイドラインでは、診断不明の非特異的腰痛は20%強と記されています。画像診断等医療の進歩により、骨や筋肉・神経等に原因がある場合は、整形外科で診断・治療できる可能性は十分あると言えるでしょう。

腰痛は血行不良によっても起こる

ではレントゲンやMRIでは分からない腰痛にはどのような原因が考えられるのでしょうか。非特異的腰痛で考えられる原因の1つに血行不良があります。ではなぜ血行不良が起こるのでしょうか。

【筋力不足で腰がすぐに疲労している】

もし腰周辺の筋力が不足していると通常では耐えられる負荷でも筋肉疲労を起こします。疲労した筋肉は血行不良となり、筋肉痛を起こすのです。普段行わない動作や作業をした後の腰の痛みはこれに該当します。

【加齢や姿勢の悪い生活習慣による腰の筋力低下】

筋肉は使わないでいると細くなり筋力が低下します。また年齢が進むにつれて筋力が弱ることがあります。このような原因で腰の筋肉が徐々に弱まり、通常では痛くならない動作でも腰の筋肉が疲労やこりを起こし、腰に痛みが出ることがあるのです。
また一般的に座っている姿勢や中腰の姿勢は腰椎周辺の筋肉が機能しにくくなり、腰椎への負担が大きくなります。このような姿勢を長時間とると、腰痛になるリスクが高くなるのです。

【身体が冷えて筋肉が固まる】

冬の寒さで身体が冷えてくると、人体は身体を守るために血管を縮めて血流を減らし、血流を内臓に集める傾向があります。そのため寒さで身体を動かさないでいると、筋肉に回る血流が低下するのです。そのような状態で急に腰を動かそうとしてもすぐに伸びず、痛みが出てしまいます。

【精神的なストレスも血行不良になる】

精神的に問題があると腰痛になることがあります。これは過度のストレスは交感神経を活性化させ、血管を縮めてしまうのです。したがって、精神的なストレスが重なると腰の筋肉への血行が悪くなり、腰に痛みを引き起こします。

血行不良の腰痛を見極めるポイントは「温めると楽になる」

では血行不良による腰痛が簡単に分かる方法はあるのでしょうか。血行不良による腰の痛みは血行をよくすることで痛みが和らぎます。そこで以下のような方法で腰痛が改善するか見てみましょう。

● お風呂やカイロなどで温めると痛みが和らぐ
● ストレッチやウォーミングアップで腰が楽になる
● 冷え込んだ朝に痛みが出るが動き出すと痛みが減る

このような傾向がある方は、後で紹介する腰痛対策のポイントを取り入れることで腰の痛みを軽くすることができる可能性があります。

こんなときはすぐ受診!危険な腰痛

それでも腰の痛みによっては放っておいてはいけないものがあります。もし以下に挙げる症状がある、もしくはあるかも知れないと感じた方はすぐに専門医を受診してください。

【じっとしていても痛みが引かない 】

筋肉や関節、血行不良による腰痛であれば身体を動かしたときに痛みが強くなります。一方でじっとしていても痛みが変わらない場合、内臓や血管に問題が生じている可能性があるのです。特に激しい痛みではお腹や胸の太い血管に異常が出ている可能性があるので、すぐに専門医による診察を受けてください。

【足の痺れや麻痺、尿・便の失禁などを伴う】

足の感覚や筋力が著しく低下している場合、腰椎を通る神経に大きな問題が出ている可能性があります。さらにひどいケースでは排尿や排便に障害が出ることがあるのです。このような症状が伴う腰痛はすぐに専門医による診察を受けてください。

【熱がある】

発熱があるということは、何かしらの炎症を起こしている可能性があります。発熱を伴う腰の痛みでは、脊椎が感染症を起こしている可能性があるのです。そのため熱がある腰痛では専門医による診察を受ける必要があります。

【痛みが徐々に悪化する】

通常の腰痛であれば1~2週間で痛みが軽減します。ところが時間が経つにつれて痛みが悪化する場合、腰やその周囲で何かしらの病気が進行している可能性があるのです。腰椎に悪性腫瘍があるなど、早期の発見が望まれる病気の可能性があるので、専門医による診察を受けてください。

冷えによる腰痛対策のポイント

冷えによる血行不良で起こる腰の痛みは、対策を立てることである程度抑えることができます。そして対策の基本は「温める」「冷やさない」そして「体づくり」です。ここでは冷えによる腰痛対策をこれら基本のポイントごとに紹介します。

「温める」は温熱刺激と食べ物で

体を温める方法の基本は温かいものに触れることです。入浴やカイロを使って温めることは血行促進につながり、冷えによる腰痛を軽減できるのです。他にも水で絞ったタオルを電子レンジで温めて、腰に当てる方法がおすすめできます。
また食べ物を使って体を温めることは、内臓など体の内側から温めて血行をよくすることができます。例えば、ショウガやニンニクそしてシナモンは体を温めて血行を促進する食材です。

「冷やさない」は服装と食事にひと工夫

せっかく温まっても、外気の寒さに体をさらしてはいけません。そのため腰を冷えから守る工夫がおすすめです。例えば肌着を厚手のものにすることや、腹巻きや股上の深いタイツやパンツを着ることで冷えから体を守ります。
食事面では体を冷やす食材の取り過ぎに注意しましょう。一般的にトマトやキュウリ、ナスといった夏野菜は体を冷やす作用があります。またお酒でもビールなど冷やして飲むお酒よりも、適量の熱燗や赤ワインがおすすめです。

「体づくり」で腰痛に負けない体に!

最後におすすめするのは丈夫な腰を作ることです。適度な運動は血行を促し、筋力をつけることになります。血行が良くなれば腰痛は軽減し、筋力も付けば腰痛になりにくくなるのです。
ではどのような運動が腰痛に効果的なのでしょうか。腰痛の予防に激しい筋トレは必要ありません。むしろ弱く固まった筋肉にストレッチを加えることで、筋力を出しやすい状態に戻してあげるのです。またストレッチは固まった筋肉に血行を促す効果もあるため、腰痛の軽減におすすめです。

腰痛予防と軽減におすすめストレッチ

● 腰痛全般におすすめできる「腰背部のストレッチ」

腰は前後に傾ける、そして左右にねじる動きがあります。それぞれの動きに対して筋肉が備わっています。腰の各方向に向かって丁寧にストレッチすることで血行を促し、痛みを軽減させましょう。この時、呼吸を止めないようにして、また反動はつけないように気を付けましょう。

①直立した状態から前屈
②後方へ反る
③反対に振り向く
④肩の開き、腰、股関節の開き具合を確認する

● 姿勢の悪い方におすすめできる「大腿四頭筋・腸腰筋ストレッチ」

猫背や反り腰が腰痛を促していることがあります。このような姿勢に思い当たる方は、腰の前にある筋肉が固くなっています。お腹から太ももの前側を伸ばすストレッチをすることで姿勢を正し、腰痛を予防しましょう。

①踵をお尻に近付ける
②お腹に力を入れる
③膝を後ろに引く
④15~30秒キープ
⑤反対側も同様に行う

● 座っている時間が長い方におすすめできる「殿部(お尻)のストレッチ」

昨今リモートワークによるパソコン仕事で、長時間座る方も多いのではないでしょうか。そのような方はお尻の筋肉が固くなり、腰痛を促している可能性があります。入念にストレッチすることで効果的に血行を促します。

①片膝を両手で抱える
②片膝を胸に近付ける
③背筋を伸ばし、胸を張る
④15~30秒キープ
⑤反対側も同様に行う

姿勢に注意することも大切

最後に、腰痛予防で意識するポイントとして「姿勢」を挙げておきます。前述の通り座っている状態や中腰の姿勢は腰にかかる負荷が大きくなります。また立つ姿勢でも、首が前に出た状態や、猫背の姿勢になっていると、慢性的な腰への負担に繋がります。
姿勢は自分でチェックすることが難しいため、大きい鏡を利用したセルフチェックや、他の人にチェックしてもらうことで、日々姿勢を意識することをおすすめします。

まとめ~冷えによる腰の痛みはセルフケアが重要~

腰痛には様々な原因があり、医師の診察でも原因が特定できないことがあります。しかし冷えによる血行不良が原因であれば、生活を工夫することで腰の痛みを減らすことができるのです。この記事を読んで自分の腰痛が冷えによるものではないかと思われましたら、ご紹介した「温める」、「冷やさない」そして「体づくり」に取り組んでみてはいかがでしょうか。

発信者

シグマックス・MEDIAID事務局

シグマックス社員が仕事の中で得た知識から、知っておくと嬉しい・役立つ情報を、生活者の視点から発信しています。

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日本シグマックス 医療をベースにした確かな実績。医療機関向け関節サポーター出荷額1位。腰サポーター出荷枚数2年連続1位 ※MEDIAIDは日本シグマックスのブランドです。
※1:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2021年度メーカー出荷額ベース
※2:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2020~2021年度メーカー出荷枚数ベース

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