「物をつまんだり、ビンのふたを開けたり、親指に力を入れる時に、親指の付け根が痛い…」。このように親指の付け根が痛むような症状が続く場合は、「母指CM関節症」が原因かもしれません。今回は、親指の付け根に痛みや腫れを引き起こす母指CM関節症についてご紹介します。
「母指CM関節」は、親指の付け根の関節です。この関節は他の指の関節と比べ、さまざまな方向へ動きやすくなっています。このような母指CM関節の柔軟性により、私たちは親指と他の指で物をつまんだり、物を握ったりすることが可能となります。例えば、以下のような動作でCM関節の動きが必要となります。
・スマホを操作する
・ビンのふたを開ける
・ドアノブを回す
・ハサミやホチキスを使う
・草をむしる
など
このような動作で親指の付け根に痛みが生じる場合は、母指CM関節に異常が生じる「母指CM関節症」の可能性があります。
母指CM関節症は、男性よりも女性に多く、特に中年以降の女性に発症しやすい疾患です。主な症状は、親指の付け根の痛み、腫れ、変形、物をつまむ動作の制限、握力の低下などが見られます。物をつまんだり、握ったりするような母指CM関節に負担のかかる動作で特に痛みを感じます。また、進行すると親指の付け根が膨らんで腫れてくるため、親指を開くことが難しくなります。
さらには、親指の先の関節が曲がって、その手前の関節が反り返るといった変形が生じることもあります。
関節の表面は、関節の動きを滑らかにする「関節軟骨」に覆われています。母指CM関節症は関節軟骨がすり減ってしまい、結果として関節の炎症や腫れ、痛みを引き起こします。母指CM関節の関節軟骨がすり減る原因としては以下が挙げられます。
日常生活において「つまむ」、「握る」といった動作は繰り返し行われます。その結果、家事や仕事で手を過剰に使っていると、母指CM関節に大きな負担がかかり、軟骨のすり減りにつながります。
加齢により関節軟骨が減少します。減少した状態で手を使うことで、関節軟骨が少しずつすり減ります。
女性ホルモンの「エストロゲン」は関節の軟骨の状態を良好に保つ作用があるとされています。そのため、更年期になり女性ホルモンの分泌が急激に減少することが原因の1つであると考えられています。
親指の付け根が痛い場合、「母指CM関節症」以外にも考えられる疾患がいくつかあります。
ドケルバン病は親指に起こる腱鞘炎(けんしょうえん)の一種です。手の甲からみて親指を広げると、手首の親指側に2本の線が浮かびます。これは親指を広げたり反らしたりする時に使う2本の腱です。この腱は2本まとめて手首の親指側にある腱鞘(けんしょう)を通ります。手首や手を使いすぎたことが原因となり、腱や腱鞘に炎症が生じた状態がドケルバン病です。
ばね指は、親指や中指のMP関節周辺に起こる腱鞘炎の一種です。指を動かす筋肉は腱(けん)となって指の骨とつながります。そして、指の関節がスムーズに動くように、腱の周りに腱鞘と呼ばれる組織で覆われている部分があります。
腱鞘炎は手を使い過ぎてしまい指の関節に負担がかかることで、腱や腱鞘に炎症が生じた状態です。ばね指が起こるMP関節は、CM関節の1つ指先に近い部分の関節です。母指CM関節同様に関節部分に痛みや腫れが見られます。
一般的に「指の付け根」と言われるとMP関節と考える方も多く見られます。そのため親指の付け根が痛むといった場合に「ばね指」である可能性も考えられます。
手根管症候群は、しびれや痛み、親指の動きの制限が起こり、つまんだり、掴んだりする動作が難しくなる病気です。
手首には手根管(しゅこんかん)と呼ばれるトンネルのような神経や腱の通り道があります。何かしらの原因で手根管を通る正中神経(せいちゅうしんけい/親指から薬指の親指側半分の感覚や親指の運動を司る神経)が圧迫されることで、手指の痛みやしびれを生じます。
関節にある滑膜(かつまく)と呼ばれる部分が異常に増えてしまい、関節の炎症を引き起こす疾患です。さまざまな症状を引き起こしますが、初めて自覚する症状として、指の関節の痛みや腫れなどがあります。
スポーツによる衝突や交通事故などで親指に強い衝撃が加わった場合、骨折や脱臼といった怪我が生じる危険性があります。そのような怪我が親指の付け根付近に生じた場合は親指の付け根に痛みや腫れなどが生じます。
親指の付け根に痛みや腫れなどの症状が見られた場合は、整形外科などの医療機関を受診しましょう。「親指の付け根」といっても、人によって捉える部分や範囲が異なります。そのため、母指CM関節症ではなくても、痛みの部位やその他の症状から、別の病気や怪我が潜んでいる可能性があります。
母指CM関節症の場合は、痛みや腫れを我慢して、関節に負担をかけると、関節の炎症や変形が進行してしまう危険性もあります。そのため、我慢できるからと言って放置せずに、早めに整形外科などの医療機関を受診してください。
親指は、日常生活で「つまむ」「握る」といった動作に不可欠な関節であり、非常に多くの場面で使われるため、負担がかかりやすい部位です。
親指に負担がかかっている場合、サポーターの活用がその負担の軽減に繋がることがあります。
親指の負担を軽減するためのサポーターを選ぶ際のポイントをご紹介します。
親指のサポーターは大きく2タイプあります。用途やライフシーンに合わせて選んでみてください。
しっかりしたサポート力を求める方は、手首や親指の関節を的確にサポートし、固定力を調節できる機能があるかを確認しましょう。
例えば、親指まわりをしっかり支えるステー(支柱)が入っていたり、ストラップで固定力を調節できたりするものが良いでしょう。
また、親指以外の指の動きを妨げない構造であるかどうかも重要です。
一方、なんとなく違和感や不安感がある、という程度であれば、手軽にサポートできる筒状タイプも検討すると良いでしょう。
長時間装着することが多いため、人体形状に沿った設計でしっかりとフィットするかどうかが快適性に繋がります。家事や仕事で使う際に役立つポイントとしては、片手で簡単に装着できるか、サポーターの上からゴム手袋などを装着できるかも確認してください。
サポーターは特定の症状を治すものではありませんが、その部位の負担を軽減し、長引く不安感とうまく付き合っていくための手助けをしてくれます。
上手にサポートしながら、無理なく毎日の生活を送りましょう。
人体形状に沿った樹脂ステーで的確にサポート。
独自のストラップ構造により片手で簡単に装着でき、他の指の動きも妨げない設計。
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手首から親指・手のひらにかけて優しくサポート。
縫い目が少なくやさしい肌触り。
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物をつまんだり、握ったりという動作は、日常生活において頻繁に行います。その動作に支障が出てしまうと、生活の質を大きく低下させることになります。
日常生活で違和感や不安がある場合には、サポーターで親指にかかる負担を軽減させることを検討するのも良いでしょう。
また、親指の関節に生じる疾患はさまざまな種類があるため、親指の付け根の痛みはもちろん、しびれや腫れなどの違和感があったら、整形外科などの医療機関を受診しましょう。
シグマックス・MEDIAID事務局
シグマックス社員が仕事の中で得た知識から、知っておくと嬉しい・役立つ情報を、生活者の視点から発信しています。
MEDIAID(メディエイド)は整形外科で
確かな実績を持つ
日本シグマックスの
サポーター専業ブランドです。
※MEDIAIDは日本シグマックスのブランドです。
※1:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2023年度メーカー出荷額ベース
※2:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2020~2023年度メーカー出荷枚数ベース