2022.12.20 最終更新日: 2026.03.27

家事をしている時、パソコン・スマホを使用している時に、指の付け根や手首が痛むことはありませんか?もしかすると、その痛みの原因は「腱鞘炎(けんしょうえん)」かもしれません。今回は、腱鞘炎の原因や症状、予防の方法をご紹介します。
● 腱鞘炎は指や手首の使いすぎが主な原因で、代表的なものに「ばね指」と「ドケルバン病」がある
● 痛みや腫れ、指の引っかかりが現れたら早めに整形外科などの医療機関を受診することが大切
● ストレッチやサポーターを活用して腱への負担を軽減するのもおすすめ
腱鞘炎とは、指にある腱鞘(けんしょう)と呼ばれる部分に炎症が起きた状態です。各指についている腱(けん)の働きによって、指は曲げ伸ばしをすることができます。腱の通り道をトンネルのように所々で覆っているのが腱鞘です。
手を酷使すると、腱と腱鞘の間で繰り返し摩擦が生じます。その結果、炎症が生じてしまい、痛みや腫れを伴う腱鞘炎を起こします。代表的な腱鞘炎として「ばね指」「ドケルバン病」があります。
ばね指は、指の付け根に当たる関節(MP関節)周辺で起こる腱鞘炎の一種です。指を曲げる腱である屈筋腱(くっきんけん)の腱鞘炎で、手のひら側で症状が起こります。また、腱鞘炎により腱鞘が厚くなってしまうため、腱が通る道が狭くなります。そのため、指は曲げ伸ばしをすることが難しくなります。
症状が進むと、腱が腱鞘に引っかかるようになり、無理に動かそうとすると、引っかかっていた部分が一気に外れてしまい、バネのように勢いよく指が動いてしまいます。
このような症状は指の上から2番目の関節(PIP関節)でよくみられ、弾発現象(だんぱつげんしょう)と呼びます。動きの特徴から「ばね指」と言う名前が付けられています。
ドケルバン病は、手首の親指側にある腱鞘(けんしょう)が炎症を起こし、親指の付け根から手首にかけて痛みや腫れが生じる腱鞘炎の一種です。狭窄性腱鞘炎(きょうさくせいけんしょうえん)とも呼ばれます。
手首の親指側の端には、親指を広げる時に働く2本の腱が通ります。これらの腱は手首の甲側にある腱鞘の中を通過します。
ばね指同様、炎症により腱鞘が厚くなってしまい、腱の通り道を狭くしてしまうことで、腱が動きにくくなります。親指の付け根から手首に近い部分に症状が現れます。
ばね指とドケルバン病の違いは以下の通りです。
| ばね指(弾発指) | ドケルバン病 | |
| 発症部位 | 指の付け根(MP関節)周辺・手のひら側 | 手首の親指側(甲側の腱鞘) |
| 主な症状 | 指の曲げ伸ばし困難・弾発現象(バネのように急に動く) | 親指の付け根から手首にかけての痛み・腫れ |
腱鞘炎が起こる主な原因と、代表的な疾患である「ばね指」や「ドケルバン病」に見られる具体的な症状を解説します。
腱鞘炎の原因として最も多いのが、指や手首を酷使することです。そのため、次のような動作を繰り返すと発症しやすくなります。
・スマホを片手で操作する
・長時間のパソコン作業、ゲームを長時間プレイする
・ゴルフやテニスなど、手首をよく使うスポーツをする
・ピアノなど、指を頻繁に使う楽器の演奏をする
・重いフライパンを頻繁に使う
上記のように、腱鞘炎は仕事や趣味などで指・手首を酷使する場合に多く起こります。また、更年期の女性や妊娠・出産期の女性にも多く、女性ホルモンの関与が考えられます。ばね指は、糖尿病やリウマチ、透析をしている場合にもよく発生します。
炎症部分の痛みや腫れが主な症状です。また、ばね指では弾発現象がみられ、PIP関節を曲げたあと、なかなか伸びなくなり、無理に伸ばそうとすると弾かれたように急に伸びます。
特に親指や中指で多くみられます。ドケルバン病では痛みや腫れの症状が親指の付け根から手首にかけて起こります。
腱鞘炎による痛みや指の引っかかりで、指や手首の関節の動きが制限され続けると、関節が固まる場合もあります。
自宅で簡単にできる腱鞘炎のセルフチェック方法、ドケルバン病の有無を調べる「フィンケルシュタインテスト変法」についてご紹介します。
炎症が生じている部分の痛みや腫れがあるかどうかを確認します。痛みは患部を押さえたり、動かしたりする場合に発生するかどうかも確認します。ばね指では指の付け根、ドケルバン病では親指の付け根から手首にかけて炎症が起こるため、それぞれで判別することも重要です。ばね指であれば、指を動かした時に引っかかりや弾発現象の有無を確認します。
ドケルバン病では、以下のような検査で確認することもできます。
親指を中に入れて手を握ります。小指側に手首を曲げた時に痛みが出るかどうかを確認します。痛みが発生したら「ドケルバン病」の可能性があります。
腱鞘炎の状態で指や手首を無理に使い続けると、ますます腱鞘が厚くなり、症状の悪化につながります。また、炎症が長期化してしまい、関節の拘縮などにつながると改善が困難になります。そのため、痛みや腫れ、指の引っかかりといった症状が現れた場合は、早めに整形外科などの医療機関を受診してください。
腱鞘炎は日頃から指や手首に負担を溜めない習慣を意識し、ストレッチを取り入れることが大切です。
スマホやパソコンを長時間使用しない、スポーツで無理をしないなど、腱鞘炎の原因となるような生活習慣を改めることが大切です。症状のある場合は安静が必要なので、特に意識して指や手首に負担がかかる動作をしないようにしてください。
安静にしようと思っても、指や手首は普段の生活をする上で動かさなければいけない部分です。そのような時に活躍するのがサポーターです。指や手首の関節を覆うようなサポーターは、関節を固定して可動域を抑制し、動かす際にかかる負担を軽減してくれるので、状況に合わせて活用しましょう。
指や手首の屈筋腱をストレッチして、腱周辺の動きをなめらかにしたり、腱が通る道を広げたりすることが大切です。自宅で簡単にできるストレッチの方法をご紹介します。
ストレッチは約1~2カ月続けると、効果を実感できることが多いとされています。無理のない範囲で、毎日続けましょう。
指の付け根を腱が通る部分にはA1プーリーと呼ばれる腱鞘があります。A1プーリーが硬くなると、腱の通り道が狭くなり腱鞘炎につながるとされています。ここでは、親指の腱の通り道を広げるためのストレッチをご紹介します。無理のない範囲で行いましょう。
1. 右手首を手の甲側に軽く反らす
2. 右親指の付け根をできる限り曲げる
3. 左親指と左人差し指で、右親指の指先を持つ
4. 右親指を伸ばすように、左親指と左人差し指に力を加える
5. 右親指は曲げる方に力を入れて、抵抗に負けないよう30秒押し合う
6. 5を5~10回繰り返す
1. リモコンや小箱などのブロック状のものを用意する
2. 手首を手の甲側に軽く反らす
3. 親指の付け根と、人差し指から小指の指の腹でブロック状のものを挟む(人差し指から小指は、指先に近い関節を伸ばすように挟む)
4. ブロック状のものを握るように30秒力を入れる
5. 4を5〜10回繰り返す
指で挟むブロック状のものが大きすぎると、指の関節が正しい角度に保てません。リモコン程度の幅のものが適当です。こちらのストレッチも、無理のない範囲で行いましょう。
ドケルバン病を予防するには親指を使いすぎないようにする必要があります。親指の付け根に違和感のある方は、親指を使う頻度を少なくしたり、普段からサポーターを着用したりして、動きすぎを防ぎましょう。
手首は、日常生活やスポーツでよく動かす関節で、下記の【手首の動き】のようにさまざまな方向に動かします。また親指は、日常生活で「つまむ」「握る」といった動作に不可欠な関節であり、非常に多くの場面で使われます。
そのため、親指と手首はどちらも負担のかかりやすい部位です。手首や親指に負担のかかる動作を行う場合はサポーターを活用するのもおすすめです。
手首全体をサポートしたい場合は手首サポーターを、手首の中でも親指の付け根部分が気になる場合や、親指全体をサポートしたい場合は親指用サポーターを選ぶのが良いでしょう。
手首と親指の負担を軽減するためのサポーターを選ぶポイントをご紹介します。
手首や親指のサポーターは、大きく2種類に分けられます。用途やライフシーンに合わせて選んでみてください。
【サポートタイプと固定力】
しっかりしたサポート力を求める方は、手首や親指の関節を的確にサポートし、固定力を調節できる機能があるかを確認しましょう。
例えば、親指サポーターの場合、親指まわりをしっかり支えるステー(支柱)が入っていたり、ストラップで固定力を調節できたりするものが良いでしょう。
また、親指以外の指の動きを妨げない構造であるかどうかも重要です。
一方、なんとなく違和感や不安感がある、という程度であれば、手軽にサポートできる筒状タイプも検討すると良いでしょう。
【フィット感と快適性】
長時間装着することが多いため、人体形状に沿った設計でしっかりとフィットするかどうかが快適性に繋がります。家事や仕事で使う際に役立つポイントとしては、片手で簡単に装着できるか、サポーターの上からゴム手袋などを装着できるかも確認してください。
サポーターは特定の症状を治すものではありませんが、その部位の負担を軽減し、長引く不安感とうまく付き合っていくための手助けをしてくれます。
上手にサポートしながら、無理なく毎日の生活を送りましょう。
医療で培った技術で薄さと固定力を両立。薄く、縫い目ゼロで快適な装着感を実現。
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人体形状に沿った樹脂ステーで的確にサポート。
独自のストラップ構造により片手で簡単に装着でき、他の指の動きも妨げない設計。
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Q: 腱鞘炎になりやすいのはどのような人?
A: 指や手首を繰り返し酷使する方、女性ホルモンが変動しやすい方が腱鞘炎になりやすいとされています。以下のような方は特に注意が必要です。
● スマホを片手で長時間操作する方
● 長時間のパソコン作業・ゲームをする方
● ゴルフ・テニスなど手首をよく使うスポーツをする方
● ピアノなど指を頻繁に使う楽器の演奏をする方
● 重いフライパンを頻繁に使う方
Q: ばね指とドケルバン病はどう違う?
A: どちらも腱鞘炎の一種ですが、症状が現れる部位と原因となる腱が異なります。
● ばね指:指の付け根(MP関節)周辺・手のひら側で起こる。屈筋腱の腱鞘炎で、進行すると指の引っかかりや弾発現象を起こす
● ドケルバン病:手首の親指側で起こる。親指を広げる腱の腱鞘炎で、親指の付け根から手首にかけて痛みや腫れが生じる
Q: 腱鞘炎を放置するとどうなる?
A: 腱鞘炎を放置して指や手首を無理に使い続けると、症状が悪化するリスクがあります。主な悪化パターンは以下の通りです。
● 腱鞘がさらに厚くなり、指の曲げ伸ばしが一層困難になる
● 炎症が長期化し、関節が固まる拘縮につながる場合がある
● 拘縮が進むと改善が困難になる場合もある
痛みや腫れ、指の引っかかりが現れたら、早めに整形外科などの医療機関を受診してください。
最近では、どの世代でもスマホやパソコンを頻繁に使用するため、誰にでも腱鞘炎になる可能性はあります。「指や手首を使いすぎた痛みだから…」と言って、痛みを我慢すると症状の悪化につながります。できるだけ指や手首に負担のかけない生活を心がけながら、適宜サポーターを着用したり、ストレッチを取り入れたりして腱にかかる負担を減らしましょう。また、腱鞘炎は症状の出る部分が異なりますので、症状がある場合は早めに医師の診察を受けましょう。
シグマックス・MEDIAID事務局
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※1:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2021~2024年度メーカー出荷額ベース
※2:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2020〜2024年度メーカー出荷枚数ベース