『肘が痛い』原因は?肘の病気と症状、痛みを予防する方法を解説

2022.12.20 最終更新日: 2023.07.25

私たちは普段の生活の中で、何気なく腕の曲げ伸ばしをしていますが、実はその動きの中心となっているのは「肘の関節」です。この肘関節の動きには、さまざまな骨・筋肉・靭帯が関わっているため、痛みが出やすい部位です。今回は、肘の痛みの原因、代表的な病気の症状・原因、痛みの予防方法を解説します。

肘関節のしくみと痛みの場所の確認方法

肘関節は、上腕骨(じょうわんこつ。いわゆる二の腕にあたる部分)と橈骨(とうこつ。前腕部の親指側)・尺骨(しゃっこつ。前腕部の小指側)によって構成されています。
肘関節にはさまざまな筋肉や靭帯がついており、肘の曲げ伸ばしや手のひらを上下に向ける動きなど、日常生活でよく使う動きに関わっています。そのため、肘関節はとても重要な部位と言えます。

肘の痛みが気になる場合は、まず肘のどのあたりに症状が出ているのか、正確な場所を確認しましょう。
腕を下ろして手のひらを身体の前に向けた姿勢をとった際の、親指側が外側、小指側が内側です。肘を曲げる側(力こぶが出る側)が前側、伸ばす側(力こぶの反対側)が後側になります。

肘が痛い場合に考えられる病気

●テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

※イラストは左腕です

症状

タオルを絞る、ビンのふたを開けるといった動きをした際に、肘の外側から前腕にかけて鋭い痛みが走ります。

原因

テニスをする人に多いことから「テニス肘」と呼ばれていますが、正式には「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」という疾患です。
肘の外側にある上腕骨外側上顆には手首や指を手の甲側に動かす筋肉がついています。これらの筋肉を繰り返し使うと、筋肉が肘の骨につく腱と呼ばれる部分に炎症を生じて、肘の外側に痛みを感じるようになります。

●肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)

症状

小指と薬指の外側(小指側)にしびれが出現し、肘の内側を軽く叩くだけで痛みが出るようになります。 症状が進行すると手の筋肉が萎縮(やせること)したり、指の変形が起こったりします。

原因

肘の内側にある尺骨神経(しゃっこつしんけい)という神経が障害されることによって起こります。尺骨神経は肘の内側にある「肘部管」を通って薬指・小指の方向へ走行していますが、この肘部管周囲で骨の変形・ガングリオン(ゼリー状の腫瘤)・関節運動によるストレスなど、尺骨神経に圧迫や牽引といった負担がかかることで発症します。

●肘内障(ちゅうないしょう)

※イラストは左肘です

症状

子どもが急に手を引っ張られた後などに、腕が急に動かなくなり、ダランと下がった状態になります。

原因

橈骨(とうこつ)の上端で円盤状になっている部分を橈骨頭(とうこつとう)と呼びます。この部分は輪状靭帯(りんじょうじんたい)という靭帯のベルトで補強されていて、大人であれば外れることはほとんどありません。しかし、子どもの骨はまだ発育途中であるため、靭帯から橈骨頭が外れかかってしまう(亜脱臼を起こす)ことがあります。これを肘内障と呼びます。多くは急に腕を引っ張られるなど、外的な要因により起こります。 5歳以下の子どもによくみられます。

●変形性肘関節症

症状

「肘を動かすと痛い=運動時痛」「曲げ伸ばしの範囲が狭くなる=関節可動域制限」「急にある角度で動かなくなる=ロッキング」といった症状が起こります。
肘関節の変形が原因で尺骨神経が圧迫されている場合は薬指・小指のしびれが出ることもあります。詳しくは前の項目の「肘部管症候群」をご確認ください。

原因

スポーツや仕事での過剰な使用や、骨折・脱臼などの外傷、加齢による影響などが原因として挙げられます。骨の先端を覆う関節軟骨がすり減ることで、関節へのストレスを減らすクッション作用が働きにくくなり、肘関節が変形し炎症・痛みを引き起こします。

●野球肘

症状

「野球肘」とは、野球の投球動作の繰り返しにより生じる肘関節障害の総称です。特にピッチャーをしている成長期の子どもに多く、ボールを投げる時や投げた後に肘が痛くなります。肘の曲げ伸ばしで痛みが生じたり、急に動かせなくなったりすることもあります。

原因

ボールを投げる動作を繰り返すことで、肘関節周囲の組織に負担がかかることが原因です。身体の使い方や年齢によって肘の外側・内側・後方など、痛みが出る部位が異なるという特徴があります。ストレスがかかり続けると肘の周りの筋肉や靭帯だけでなく、骨・軟骨・神経に影響が出て、治療が長期化することもありますので注意が必要です。

肘の痛みで病院に行く目安

肘の痛みが出た際に、整形外科などの医療機関を受診すべき3つの目安をご紹介します。

1.すぐに受診が必要

「転んで肘を強く打った」などの外傷がある場合、我慢できないほどの強い痛みが出ている場合は、すぐに整形外科などの医療機関を受診してください。

2.翌日にはできれば受診

「肘を動かすと痛い」「肘の周囲に腫れがある」「いつも同じような痛みが続いている」といった症状がある場合は、翌日から遅くとも2~3日中には整形外科などの医療機関を受診してください。

3.受診は自己判断で

安静にして、短時間で痛みがなくなったという場合は、急いで受診する必要はありません。その後、同じような痛みが繰り返すようであれば受診を検討してください。

肘の痛みを予防する方法

●ストレッチ

肘への負担を減らすためには、筋肉を柔軟に保ち、可動域が狭くならないようにすることが重要です。肩関節の硬さが肘関節に負担をかけることも多いため、今回は肘の周りの筋肉をほぐすストレッチと肩関節の後ろ側の筋肉をほぐすストレッチの2種類をご紹介します。

テニス肘の予防におすすめ!肘・手首の周りをほぐすストレッチ

① 右肘を伸ばして腕をまっすぐ上げ、右手の指先を上に向ける。右手の指に左手を添えて、右手の指先が自分の身体の方に向くように10秒間引く
② 右手の指先を下に向けて、①と同じように10秒間引く
③ 右手の指先を内側に向けて、①と同じように10秒間引く
④ 右手の指先を外側に向けて、①と同じように10秒間引く
⑤ 反対も同様に行う

肘の痛み予防におすすめ!肩関節後面のストレッチ

肩関節の硬さが肘関節に負担をかけることも多いため、肩関節の後ろ側のストレッチも試してみましょう。

① 両腕を伸ばし、「前ならえ」の姿勢をとる
② 伸ばした右腕を身体の左側に持ってくる
③ 左腕で上から右腕をおさえて、さらに右腕を身体側に引き寄せる
④ 右肩の後ろ側が気持ちよく伸びている感覚があるところで止めて、30秒キープ。3回繰り返す
⑤ 反対の手も同様に行う

●サポーター

肘を酷使することで痛みが出ている場合は、痛みのある部位を固定するサポーターを利用することも、肘を保護する上で有効です。また、肘へのストレスを減らすために予防としてサポーターを使うのもおすすめです。サポーターによって固定の程度や、保護できる部位などはそれぞれ違うので、不安がある場合は整形外科などの医療機関を受診し、医師のアドバイスのもとでサポーターを選びましょう。

まとめ

家事、スポーツ、仕事…私たちはいろいろな場面で肘を使った動作を行います。「多少は使いすぎても大丈夫」と肘を酷使するのではなく、たくさん使ったら休ませる、合間にストレッチをする、負担がかかる動きを繰り返さない、といった対策をして、肘の痛みを予防しましょう。

発信者

シグマックス・MEDIAID事務局

シグマックス社員が仕事の中で得た知識から、知っておくと嬉しい・役立つ情報を、生活者の視点から発信しています。

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※1:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2021年度メーカー出荷額ベース
※2:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2020~2021年度メーカー出荷枚数ベース

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