『変形性膝関節症』とは?症状や原因、膝の痛みを予防するストレッチをご紹介

膝の痛みや歩きにくさを引き起こし、生活に支障をきたす場合もある「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)」。年齢を重ねるにつれて発症しやすくなりますが、どのような病気なのでしょうか。

今回は変形性膝関節症の症状や原因、変形性膝関節症による膝の痛みを予防するために必要な日常生活の注意点やストレッチ、トレーニングの方法をご紹介します。いつまでも元気に歩くために日頃から適度な運動を取り入れましょう。

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症の病態や膝の関節(以下、膝関節)に関わる筋肉を解説します。ストレッチやトレーニングをスムーズに行うために理解しておきましょう。

変形性膝関節症の病態

変形性膝関節症は膝関節にある軟骨の弾力が低下した結果、繰り返しかかる荷重によって軟骨がすり減り、膝の変形や痛みが生じる病気です。膝の変形があっても、痛みが出ない場合もあります。

男性よりも女性に多く、加齢によって増加する病気です。40才から徐々に増え始め、有病率は60代では男性は約35%、女性は約60%に上ります。女性は閉経後にエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンが低下したり、男性よりも筋肉量が少なかったりといった理由で、男性に比べて約4倍多い患者がいると推測されます。

膝関節を動かす主な筋肉

膝関節は筋肉の働きによって曲げ伸ばしが可能になり、歩いたり、立ったりする時に筋肉がしっかり働くことで動作が安定します。膝を動かす主な筋肉は、太ももの前にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)と太ももの裏にあるハムストリングスです。

大腿四頭筋は大腿直筋(だいたいちょっきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)、内側広筋(ないそくこうきん)、外側広筋(がいそくこうきん)の4つの筋肉で構成され、膝を伸ばす力を発揮します。立ち上がりや歩行では重力、体重の影響で、膝が曲がる方に力が加わるため、大腿四頭筋が働くことで、膝を安定させてスムーズに動くことが可能になります。

ハムストリングスは太もも裏の外側にある大腿二頭筋(だいたいにとうきん)と太もも裏の内側にある半腱様筋(はんけんようきん)、半膜様筋(はんまくようきん)で構成され、膝を曲げる力を発揮します。ハムストリングスが硬くなると膝が曲がって伸びにくくなり、膝が不安定な状態となるので力を発揮できなくなります。

このように大腿四頭筋やハムストリングスといった筋肉は膝関節の動きや安定性に関わり、変形性膝関節症の予防に大切な筋肉です。

変形性膝関節症の症状

変形性膝関節症の症状は関節の腫れや痛み、変形、動きの制限です。進行の程度によって症状が変わります。進行を予防するためには症状が出たら早めに整形外科などの医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。

進行の程度は初期・中期・末期の3段階に分けられます。各時期における症状を解説します。

初期

初期の症状は立ち上がりや歩行などの動作の開始時に見られる膝の痛みです。安静にしていると痛みはなく、動作中の痛みもありません。

膝のこわばり(動かしにくくなること)は見られても、動きの制限はありません。この時期は手術ではなく、薬や運動による治療が主になります。

中期

軟骨がすり減って間隔が狭くなるので、膝の動きが制限されます。そのため、正座をすることが難しくなります。また、階段昇降が難しくなり、日常生活に支障をきたします。

末期(進行期)

膝の変形が進行してO脚が目立ち、膝が伸ばせなくなり、曲がったままになります。安静時にも痛みがあり、歩くことが難しくなります。薬や運動による治療が期待できない場合は手術を行います。

あなたの膝はどのような状態?膝のセルフチェック

膝の健康状態をチェックしましょう。

  •  膝が完全に伸びきらない
  •  正座ができない
  •  階段の上り下りが難しい
  •  長時間立った後、膝に痛みが出る
  •  気をつけの姿勢を取ると、膝のあいだにこぶし1つ分あく
  •  運動を始めた時は膝に痛みが出るが、運動を続けていると痛みが取れていることがある
  •  膝を曲げるとお皿の上が張ったり、腫れたりするような感覚がある

これらの項目に当てはまる場合は変形性膝関節症の可能性があるので、気になる場合は整形外科などの医療機関を受診しましょう。

変形性膝関節症の原因と診断

変形性膝関節症の原因や診断を解説します。思い当たる状態がある場合は、すぐに整形外科などの医療機関を受診して医師による診断を受けましょう。

変形性膝関節症の原因

膝にある軟骨が加齢により弾力を失い、使いすぎによってすり減った結果、関節の変形を引き起こします。また、骨折や靭帯損傷などけがの後遺症として変形する場合もあります。それ以外にも、肥満や遺伝が原因になるとも言われています。

またO脚の方やヒールの高い靴を履いている方、重い荷物の上げ下ろしをするような重労働を行っている方は、膝にかかる負荷が大きいので変形性膝関節症を発症するリスクが高まる可能性があります。

加齢によるものは、軟骨の弾力が年々減少する中で膝を使い過ぎた結果、軟骨がすり減って膝の変形が生じます。また、骨折や膝の動きを制御する靭帯の損傷、膝にかかる衝撃を吸収する半月板の損傷の後遺症として変形が起こる場合もあります。

高齢者に多い変形性膝関節症ですが、若者でも日頃から膝を酷使していれば変形性膝関節症を発症するリスクは高まるので注意しましょう。

変形性膝関節症の診断

医師による問診で痛みや制限されている動作を確認します。膝を圧迫して痛みの出る部分を確認したり、関節の動きや腫れ、変形の程度を確認したりします。

関節の変形や膝関節を作る骨の状態は、レントゲンで確認します。本来あるはずの関節の隙間が狭くなったり、骨のふちにトゲのようなでっぱり(骨棘:こつきょく)が見られたりするのが特徴です。必要に応じてMRI検査での画像診断をする場合もあります。

変形性膝関節症を予防しよう!

変形性膝関節症の予防には、日常的にかかる膝関節への負荷を減らすことが大切です。ここでは日常生活の中で取り入れられる予防法や膝を守る筋肉のストレッチ、トレーニングをご紹介します。

トレーニングは特別な器具がなくても自宅で簡単にできるので、お風呂上がりや寝る前など、自分のできるタイミングで取り組んでみましょう。

日常生活での予防法

普段の生活で何気なく行っていることも膝に悪影響を及ぼす場合があります。膝に無理をさせないために、日頃から注意して生活しましょう。

膝を温める

クーラーや扇風機などで膝が冷えてしまうと血行が悪くなり、膝の痛みが増す場合があります。膝掛けを使って膝を温める、クーラーや扇風機の風に直接当たらないようにするなど工夫しましょう。

体重が増加した場合は減量する

膝には歩く時に体重の3~6倍もの負荷がかかり、階段や坂道になればさらに負荷は増します。つまり、体重が増えると膝への負荷も増加することになります。体重が増加した場合は減量することが膝への負荷を減らすことにつながります。

正座をしない

正座をしたり、横座り(お姉さん座り)をしたりすると膝が大きく曲がったり、捻ったりした状態が強制されます。これが膝への負荷になります。

これらの姿勢は和式の生活様式でよく見られます。例えば、和式のトイレではしゃがむ必要があり、膝を深く曲げなければいけません。できるだけ椅子に座るなど洋式の生活に変えるのが膝への負荷を減らす工夫になります。

太ももの筋肉を鍛えるストレッチやトレーニング

大腿四頭筋の筋力やハムストリングスの柔軟性を保つことは、変形性膝関節症の予防に重要です。自宅でも簡単にできる大腿四頭筋の筋力トレーニングとハムストリングスのストレッチをご紹介します。

ハムストリングス(太ももの裏)のストレッチ

座ってできるハムストリングスのストレッチです。ストレッチは息を止めずに行い、伸びを感じる程度の強さを保ちましょう。

  1. 両膝をまっすぐ伸ばして座る
  2. 両手で足の裏をつかむ
  3. 胸を太ももに押し付けるように体を倒す
  4. 15秒から20秒キープする。2~3回繰り返す

太ももの裏が痛い場合は、足の裏ではなくすねを両手で持って行いましょう。つま先を外側や内側に向けて同じストレッチを行うと、ハムストリングスの内側と外側がまんべんなく伸びます。

大腿四頭筋(太ももの前)のトレーニング

座ってできる大腿四頭筋のトレーニングです。このトレーニングは大腿四頭筋の中でも内側広筋が鍛えられます。

内側広筋は膝を伸ばしきる時に働き、歩行や立ち上がりで膝をしっかり伸ばして安定させる重要な筋肉です。できるだけしっかり力を入れて効率よく筋力を向上させましょう。

  1. 両膝をまっすぐ伸ばして座り、丸めたタオルを膝の下に置く。両手は後ろに付く
  2. 片方のつま先を手前に引き、タオルをつぶすように膝裏で押さえ付ける
  3. できる限りタオルをつぶした状態で3秒キープし、3~5回繰り返す。もう片方も同様に行う

椅子に座って膝をできる限り伸ばす運動でも大腿四頭筋を鍛えられます。片方のつま先を手前に引き、体が後ろに倒れないようにするのがポイントです。こちらも、3~5回を繰り返し、もう片方の足も同様に行いましょう。

まとめ

変形性膝関節症は膝へ繰り返しかかる負荷によって進行していく病気です。しかし、筋力を保ち、膝に負荷をかけないように気をつけて生活を送れば、病気の進行の予防につながります。

太ももの筋肉の働きを保つためにトレーニングやストレッチを継続して、膝へかかる負荷を軽減することが大切です。また、膝への負荷がかかりそうな仕事やスポーツをする場合は、サポーターを着用して膝への負荷を減らすことも選択肢の一つです。

膝の痛みは変形性膝関節症だけでなく、さまざまな病気が潜む可能性があります。自己判断をせずに、気になる症状が少しでもあれば整形外科などの医療機関を受診して、正しい診断や適切な運動療法を指導してもらいましょう。

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発信者

シグマックス・MEDIAID事務局

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※1:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2021年度メーカー出荷額ベース
※2:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2020~2021年度メーカー出荷枚数ベース

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