2025.07.08
夏が近づくにつれ、「会社ではどのような暑さ対策が必要なのか」と気になる方もいるでしょう。
実は、熱中症対策は単なる暑さ対策にとどまりません。企業全体で取り入れることで、従業員満足度(ES)の向上につながります。
ESとは、働く方が「この職場で働き続けたい」と感じる度合いのこと。つまり暑さ対策の内容は、従業員のモチベーションや定着率にも大きく影響するものなのです。
本記事では、従業員満足度向上につながる熱中症対策9選を、現場での実例や導入方法とあわせて紹介します。
人手不足が深刻な今だからこそ、働きやすい職場づくりを目指しましょう。
熱中症対策が従業員満足度(ES)を高める3つの理由は以下のとおりです。
● 暑さによるストレスが軽減される
● 健康への気づかいが信頼を育む
● モチベーションと定着率が上がる
それぞれ詳しく解説します。
人は気温が高いだけで心身ともに疲れやすくなるため、熱中症対策を行うことで暑さによる身体的・精神的ストレスが減り、結果として仕事への集中力・やる気が上がります。
また、従業員の集中力・やる気が上がると生産性の向上にもつながります。
暑さの影響が現れやすい例を以下にまとめました。
暑さが引き起こす負担 | 従業員が感じやすいこと |
---|---|
体がだるく集中できない | 「今日はしんどいな」 「早く帰りたい」 |
イライラしやすくなる | 「気が立ってミスが増えた」 「職場がギスギスする」 |
やる気が出ない・疲れが抜けない | 「仕事が進まない」 「仕事に行きたくないな」 |
「自分の健康を気にかけてくれている」と実感できると、職場への信頼感が生まれます。
1日の大半を過ごす職場において、企業に思いやりがあるかどうかは従業員にとって重要です。
企業の健康配慮が従業員の感情にどのように影響するかを整理すると、以下のような変化が見えてきます。
企業の姿勢がどう見えるか | 従業員の感情の変化 |
---|---|
健康に無関心な雰囲気がある | 「自分のことを大切にされていない」と感じる |
体調への配慮が伝わってくる | 「気にかけてもらえて安心する」と思える |
仲間同士でも健康を気づかう空気がある | 「この職場は心地よい」と感じるようになる |
働きやすさを実感できる職場は、自然に働き続けたい場所に変わっていきます。
働きやすさが意識や行動にどう影響するかを整理すると、次のようになります。
働く環境で感じること | 結果として現れる行動や意識 |
---|---|
快適さや安心感がある | モチベーションが自然に高まる |
気にかけられていると感じる | 「自分は必要とされている」と実感できる |
不安やストレスが少ない | 「辞めたい」という気持ちが「続けたい」に変化する |
つまり、熱中症対策の有無が、離職リスクに直結するケースもあるということです。
従業員満足度を高める熱中症対策は以下のとおりです。
● WBGT測定で作業環境の暑さを「見える化」
● 職場掲示板やアプリで「熱中症警戒情報」を共有
● 社内健康セミナーで「正しい予防知識」を教育
● 夏季の労働時間短縮・時差出勤制度
● 飲料・塩飴などの無償支給
● 夏季に「健康・栄養サポート食堂」や軽食の提供
● 冷却ベストで酷暑環境での作業負担を軽減
● クーラー・スポットクーラー・遮熱フィルムの整備
● スマートウォッチ導入で体温・水分摂取状況を可視化
それぞれ詳しく解説します。
WBGT値を活用すると「どれくらい暑いか」を客観的に判断できます。
WBGT(湿球黒球温度)とは、気温だけでなく湿度や日射、風の影響も加味して熱中症リスクを数値で表す指標で、「暑さ指数」とも言われます。
以下のような数値と判断基準があります。
WBGT値の目安 | 暑さのレベル | 現場での判断基準 |
---|---|---|
25~28℃ | 警戒 | こまめな休憩と水分補給が必要 |
28~31℃ | 厳重警戒 | 作業時間を短くする |
31℃以上 | 危険 | 作業の中止や時間帯の変更を検討 |
参考:環境省「暑さ指数(WBGT)について」
測定した数値を社内で共有したり、現場ですぐに確認できるような仕組みを作ることで、「今日はどれくらい暑いか」「どう対応すればよいか」が明確になり、従業員の安全意識も自然に高まります。
職場内で「熱中症警戒情報」をリアルタイムで共有する仕組みがあると、予防意識が格段に高まります。
情報をチーム全体で共有することによって、「自分だけの注意」から「全員での予防」へと意識を転換できるからです。
共有手段と現場での効果を以下に整理しました。
情報共有の方法 | 狙い・効果 |
---|---|
アプリやLINEで自動通知 | 出勤前にスマホで確認でき、熱中症リスクを事前に把握しやすくなる |
職場の掲示板にアラートを掲示 | 作業前に視覚的に情報が入り、注意喚起の意識が自然に高まる |
熱中症に関する正しい知識を身につけるべく、専門家による社内セミナーや教育コンテンツの活用もおすすめです。
実例や科学的根拠をもとに、日常行動につながる予防知識を従業員に浸透させられます。
主な教育内容は次のとおりです。
教育内容 | 狙い・効果 |
---|---|
のどが渇く前に水分を補給する重要性 | 意識的な水分摂取が習慣化され、脱水のリスクを大幅に下げられる |
冷房環境でも熱中症のリスクがあること | 室内作業でも油断せず対策を講じるようになり、見落としが減る |
夏限定での時差出勤や労働時間の短縮制度も熱中症対策の一環です。
以下に、主な時間調整の工夫とその期待効果をまとめました。
時間調整の工夫 | 狙い・効果 |
---|---|
始業を7時・終業を15時にシフト | 暑さが本格化する時間を避けられ、体調不良リスクを低減できる |
昼〜午後にかけて休憩時間を拡大 | 体力の消耗を防ぎ、作業パフォーマンスを安定させられる |
午前中に作業を集中させる | 見通しの立つスケジュールで精神的な余裕が生まれ、モチベーション維持にもつながる |
熱中症対策として水分や塩分を無償支給すると、「社員思いの会社」としての信頼感が生まれます。
熱中症の主な原因は、体の中の水分や塩分が足りなくなることです。とはいえ、毎回飲み物や塩飴を自分で用意するのはちょっとした負担になります。
以下は、よく使われている支給アイテムです。
支給アイテム | 狙い・効果 |
---|---|
経口補水液・スポーツドリンク | 水分・電解質の補給を効率化し、脱水症状を防ぐ |
塩飴・塩タブレット | 塩分を手軽に補給でき、発汗によるミネラル不足をカバー |
栄養のある食事を福利厚生として提供するのも熱中症対策に効果的です。
暑さによる食欲低下は集中力の低下を招きやすいため、エネルギー源を手軽に補えるメニューを常設することをおすすめします。
食事提供以外にも、福利厚生として実践できる暑熱対策は多数あります。具体的な企業事例は下記の記事をご覧ください。
「福利厚生による暑熱対策&熱中症対策5選|高温環境で生産性向上を目指す企業事例」の記事へ
冷却ベストは体を効率よく冷やすことで、作業中の体温上昇を抑えるウェア型の暑熱対策アイテムです。保冷剤・ペルチェ素子・ファンなどさまざまな冷却方式があり、軽量で動きやすい設計が特徴です。
導入によって期待できる効果は以下のとおりです。
● 体温の急上昇を抑え、熱中症リスクを軽減できる
● 体への負荷が減ることで、集中力や作業効率を維持できる
● 長時間の作業でも、快適性を保ちやすくなる
冷却ベストは空調設備の整わない現場や屋外イベント、倉庫作業など、高温環境下での業務全般に活用できる汎用性の高い暑熱対策グッズです。
特に「ファン付きベストだけでは不十分」「保冷剤の交換が負担」と感じる現場では、電動冷却式や循環式などの高機能タイプも視野に入れて検討するとよいでしょう。
なかでも「アイシングギア ベスト2」は、他製品には無い特徴を持っています。
準備はバッテリーの充電のみ。酷暑でも5時間冷感が持続するペルチェ×水冷式の「速・軽・快」な冷却服。
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支給アイテム | |
---|---|
冷却持続時間 | 約5時間の冷感を維持。高温環境での連続作業でもバッテリー交換なしで利用可能。 |
独自冷却技術 | 「4C-Peltier System」搭載。冷却・循環・温度管理・快適性の4要素を統合したペルチェ技術。 |
フィット性・作業性 | 動きやすくタンクレスで軽い(約1.8kg)。膨らまず、狭所作業にも対応。 |
広範囲冷却パッド | パッドが体の広い面積にフィットして効率よく冷却。 |
ユニフォーム対応 | ベスト+リュック分離構造で上着や安全帯も着用可能。様々な現場ユニフォームにフィット。 |
使用環境の自由度 | 粉塵の多い現場でも利用可能。工場・倉庫・建設現場・屋外イベントなどに最適。 |
「ファン付きベストでは暑さに耐えられない」「保冷剤の交換が面倒」とお考えの企業は、現場発想で開発された「アイシングギア ベスト2」の導入を検討してみてください。
すぐに導入できる熱中症対策グッズを知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
「【企業向け】すぐに導入できる熱中症予防・対策グッズ特集」の記事へ
全館空調が難しい場合は、一部を冷やす改善をして少しずつ涼しくすることをおすすめします。
現場でよく採用されている暑さ対策は以下のようなものです。
対策内容 | 狙い・効果 |
---|---|
スポットクーラーの設置 | 局所的に温度を下げ、作業エリアの体感温度を大幅に低下させる |
遮熱フィルムの貼り付け | 日差しの侵入を抑え、室内の温度上昇を防ぐ |
ミストファンの導入 | 水蒸気と送風の組み合わせで、風が涼しく感じられ作業の継続性が向上 |
近年は、熱中症対策の一環としてウェアラブル型の生体センサー端末の導入が進んでいます。
作業者が腕や胸部に専用デバイス(スマートバンドやセンサーベルトなど)を装着し、体温・心拍・水分摂取状況などのデータを取得。その情報を管理者がクラウド上で一括モニタリングできるシステムです。
Apple Watchのような一般消費者向けスマートウォッチとは異なり、産業用の熱中症リスク管理に特化したツールである点が特徴です。
よく使われる機能と期待される効果を以下にまとめました。
機能例 | 狙い・効果 |
---|---|
体温が上がるとアラート通知 | 「通知が来たから、一旦休憩しよう」と自分で判断しやすくなる |
心拍の急上昇を検知 | 上司が気づいて声かけ・フォローができる |
水分摂取リマインダー | 暑さに夢中になっても補給タイミングを逃しにくくなる |
熱中症対策を義務と捉えなければ、次のようなリスクにつながる恐れがあります。
● 損害賠償リスク
● 安全配慮義務の違反リスク
● 労働安全衛生法の違反リスク
それぞれ詳しく解説します。
業務中に従業員が熱中症を発症した場合、企業に過失があると判断されれば、労災として損害賠償を請求される可能性があります。
2025年6月1日施行の労働安全衛生規則の改正により、一定の高温環境下では熱中症対策が企業の義務(罰則付き)となったため、これまで以上に「適切な予防措置を講じたかどうか」が法的責任を問われる判断基準となります。
以下は、熱中症の発生要因と賠償リスクの関係です。
発生要因 | 賠償責任が問われる理由 |
---|---|
暑さ対策設備や備品の未整備 | 適切な労働環境を提供していなかったと見なされるため |
体調不良の訴えを無視 | 危険を放置したと評価される可能性があるため |
注意喚起やルール整備の不備 | 安全管理義務を怠ったとされ、過失責任が発生し得るため |
労災に該当する条件や、企業が負うべき法的対応を詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
「熱中症による労災リスクと企業の責任|法的対策ガイド」の記事へ
熱中症対策を怠ると、安全配慮義務違反として法的責任を問われる可能性があります。
安全配慮義務とは、企業が従業員の心身の健康と安全を守るために必要な配慮をする法律上の義務です。労働契約の一部として明確に定められており、「知らなかった」では通用しません。
参考:厚生労働省「労働契約法のあらまし」
たとえば、以下のような状況は会社側に違反リスクが生じる可能性があります。
● 高温下での長時間作業を放置した
● 体調不良の訴えに適切な対応をしなかった
熱中症対策を怠ることは、労働安全衛生法違反とみなされる恐れがあります。
暑熱環境下では、「暑さによる健康被害を防止する措置」が求められており、対応を怠ると行政指導や是正勧告の対象となることもあります。
令和7年6月から規則改正により職場の熱中症対策が義務となり、以下に違反すると罰則が科せられます。
● 発症者の報告をするための体制整備
● 症状悪化を防止するための措置や手順の作成
● 上記を関係者へ周知
参考:厚生労働省 富山労働局「職場における熱中症対策の強化について(令和7年6月1日施行)」
熱中症対策は単なる福利厚生ではなく、法令遵守の基本項目として扱う必要があります。
具体的にどのような対策が求められ、緊急時にはどう対応すべきかを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
「【企業向け】熱中症対応マニュアル|緊急時の手順・応急処置・労災対応まで徹底解説」の記事へ
熱中症は体調不良だけでなく、職場全体の信頼や定着率にも影響を及ぼすため、次のような環境整備が重要です。
● 冷却ベスト・スポットクーラーの導入
● WBGT測定による「見える化」
● 飲料・塩分補給の無償提供
● スマートウォッチやアプリでの体調管理
● セミナーや掲示板での予防教育
快適で安心できる職場は、「ここで働きたい」と思える場所になります。従業員満足度を高めるためにも、自社にできる熱中症対策から始めてみてください。
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※1:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2023年度メーカー出荷額ベース
※2:㈱日本能率協会総合研究所調べ。2020~2023年度メーカー出荷枚数ベース